こんにちは!S&Cコーチのリノ(@rino_stlog)です。
この記事では、「水泳で必要な体幹」の中でも最も重要な腹筋群の役割をお伝えします。
水泳のどんな場面で腹筋が使われるのか、強化することでどんなメリットがあるのかを紹介したいと思います。
水泳で必要な腹筋の役割
腹筋が関与する動き
腹筋をトレーニングするときのポイント
この記事を読むことで、トレーニングで意識する筋肉の場所や注意したいポイントをポイントをおさえる事ができます。
プログラムを始める前にぜひ一度読んでおきましょう。
水中で効率的に体を動かすには?
私たちの日常生活でも、姿勢を維持するために大切な腹筋。
不安定な水中の場合、姿勢を維持する他にどのような役割を持っているのかみていきましょう。
水泳における体幹の筋の役割
水泳で必要な体幹の役割は主に3つあります。
- 上肢と下肢をつなげる
- 自由形や背泳ぎのローリングをサポートする
- バタフライ、平泳ぎ、ドルフィンキックなどの「うねり」動作を生み出す
腹筋を強化することで、上記3つの動きをスムーズにする事ができるのでオーバーユースによる障害の予防にもなります。
腹筋のグループ分け
腹筋は胸郭から骨盤をつなげる4つの筋肉でできています。
体の前面にあるグループ
体の側面にあるグループ
体を動かすときに腹筋が関与する動き
- 体幹を前方や側方へ屈曲したり回したりする動作
- 腰部と体幹の安定と固定
この2つの動作は腹筋群の協調性が取れていないと、動作に問題が出てくる場合があります。
怪我の原因にもなるので腹筋は全体的に鍛えましょう。
4つの筋肉の役割
ここからは4つの腹筋が「どの骨から始まって(起始)どの骨についている(停止)」のか、各筋肉が収縮すると体はどのように動くのかをみていきます。
腹直筋
- 胸骨〜第5、第7肋軟骨の上に付着
- 筋繊維の走行:骨盤の真ん中を恥骨結合と恥骨陵につくように垂直に走っている
- 6つに割れている部分は「筋膜」と呼ばれる組織の鞘に覆われている
- 腹直筋を2つに分ける「白線」がある
- 腹直筋上部の収縮…体幹上部を下げるように湾曲させる
- 腹直筋下部の収縮…骨盤を上部に(胸のほうに)引き上げる
- 両方が収縮することで体幹がボールのように湾曲する
外腹斜筋
- 一番外側についている
- 第5〜第12肋骨の外側に付着し、「白線」につくように真ん中に向かって斜めに走っている
- 外腹斜筋の片側だけを収縮させると体幹を逆側に回旋させる(右の外腹斜筋を収縮→体幹を左方向へ回旋)
- 両側の収縮…体幹の屈曲
内腹斜筋
- 外腹斜筋の下に位置する
- 外腹斜筋に対して垂直に走っている
- 骨盤上部からは始まり、背中の上部と下部の脊柱に付着する
- 幅が広く、帯のような形状(密生結合組織)をしており、胸部と腰部の筋膜のような構造をしている
- 後部から「白線」と恥骨を挟んで腹部の前面周りを包んでいる
- 片側だけの収縮…同じ方向へ体幹を回旋
- 両側の収縮…体幹の屈曲
腹横筋
- 第5〜第12肋軟骨の内壁面、骨盤の上部、胸腰筋膜に付着
- 内腹斜筋と一緒に「白線」と恥骨に付着
- 腹横筋の収縮…体幹を安定させるように機能する
- 体幹を安定させたり固定させたりするので「コルセット」に例えられる
泳ぐ動作を改善するための体幹の役割
例1:フリップターン
フリップターン中に行われる体幹が曲がる動作(屈曲)の場合。
- 腹直筋の上部から動きが始まる
- 腹直筋下部へ
- 両側の腹斜筋で動きが完了する
例2:「うねり」動作
体幹を曲げる筋群(屈筋群)が使われる動きです。
- バタフライ、平泳ぎ、ドルフィンキック
- ボディロール動作
例3:オープンターン、ローリング動作
強いしっかりした腹斜筋は体幹の屈曲と回旋の動作に使われます。
- バタフライや平泳のオープンターン
- 自由形や背泳ぎのローリング動作
- 体幹の安定
腹筋のトレーニングをするときのポイント
正しいテクニックでトレーニングしよう
全てのトレーニングをする前に覚えておきたいポイントが、「正しいテクニックでトレーニングすること」です。
- どこの筋肉が使われているか?
- 動かす方向は合っているか?
- 回数やレストを守っているか?
トレーニングの動画や書籍がたくさん出回っている時代です。
エクササイズのポイント、やってはいけないフォームなどがちゃんと示されているはずなので、しっかり読んでケガを予防しましょう。
腹筋のトレーニングをするときに意識するポイント
仰向け姿勢
腹筋を収縮させて腰を床に押し付けるように体を曲げる。
股関節屈筋群の収縮
腰のアーチを引き起こすように腰を前に曲げる。
股関節を前方、後方に十分に動かした後、骨盤と腰部を
ニュートラルポジションで固定することを意識する。
ニュートラルポジションをキープする
全ての腹筋をコルセットのように、意識的に収縮させる。
体幹トレーニングを行うときは常に上記の体幹固定のプロセスを行ってからトレーニングに入り、トレーニング終了まで意識することが大切です。
体幹が固定できていない目安
腹筋ではなく股関節の強い収縮に頼って姿勢をキープしようとしている場合だと以下の姿勢の崩れが確認できます。
- 腰が過剰なアーチを起こしている
- 腰が過剰に床につき、お尻が天井に向かって持ち上がっている
この姿勢でトレーニングをしてしまうと怪我をしてしまう可能性が出るので要注意です。
基本を理解し、トレーニングへ
ここまでが体幹の腹筋群の解説でした。
どの筋を鍛えればどんな効果があるのかを自分で理解することで
より効果的なトレーニングをすることができます。
競技力向上のため、傷害予防のため、健康のため。
ご自身の目標のためにしっかりトレーニングしていきましょう。
参考書籍:スイミング解剖学(イアン・マクロード著)